花王 公式の見解②「タオルのニオイ戻り」には、バイオフィルム除去が効果的!
みなさん、こんにちは!花王 公式note編集部です。
梅雨時期に、洗たく物のニオイが気になることはありませんか?部屋干しをすると室内が嫌なニオイになったり、洗たく直後は気にならないけれど、いざ、手や顔をふくときにタオルが濡れるとニオったり・・・。
花王が日常生活でのニオイ悩みを調査したところ、約7割の人が衣類やタオルのニオイに悩んでいて、特に、タオル類はニオイの気になる人の割合が高いアイテムの一つになっています。(2024年 花王調べ)
そこで今回は、洗たく用洗剤のプロフェショナルである花王 ハウスホールド研究所の森川研究員に話を聞いてみました。
ちゃんと洗ったのに、なぜかニオう…。原因は、排水口のヌメヌメと同じアイツだった!
――いきなりですが、洗たく直後はニオイがしないのに、使う時にタオルから嫌なニオイがするのは、なぜなんですか?
森川:それは、「バイオフィルム」という菌がつくりだす多糖汚れ(以下、バイオフィルム)が原因の1つなんです。実は、洗ってもぶり返すタオルの嫌なニオイは、最新の実態調査からも、多くの生活者の悩みだとわかっているんですよ(2024年 花王調べ)。
そして、花王独自の解析技術を使って詳しく調べたところ、嫌なニオイの成分が多い部分には、バイオフィルムが多く存在していることがわかったんです。
――バイオフィルムって、ネバネバした汚れのヤツでしったっけ?
森川:そうです。浴室のピンク汚れや、排水口のヌメヌメしたアレです!花王は、タオルや衣類にもバイオフィルムが存在することを発見し、洗たく分野での研究開発を進めてきました。
――そのバイオフィルムがあると、なぜニオイ戻りが発生するんですか?
森川:実はバイオフィルム自体がニオうわけではないんです。でも、繊維にバイオフィルムができると、あのネバネバによってニオイの原因菌や、菌のエサとなる汚れが吸着されやすくなってしまいます。このため、バイオフィルム内でニオイの発生が促進されてしまうんです。
つめこみ洗いや部屋干しが、ニオイ戻りになるバイオフィルムを形成しやすくしている!?
――なるほど・・・ニオイ戻りとバイオフィルムの関係がよくわかりました。ところで、ニオイ戻りは梅雨時期に多く感じる気がするんですが・・・
森川:梅雨時期は、どうしても部屋干しが増えますよね。実は、外干しに比べて乾きにくく多湿になる部屋干し環境は、バイオフィルムができやすいんです。
ちなみに、洗たくのとき、つめこみ洗いをしていませんか?
――そうですね。忙しくて、どうしても週末にまとめて洗たくするので、つめこみ洗いになっている気がします。
森川:そうですよね。現在の洗たく環境をみても、つめこみ洗いをする人、部屋干しをする人が増えています。つめこんで洗うと洗浄性能が低下してしまうので、菌のエサとなる汚れを落としきれずに残りやすくなってしまうんです。
つまり、つめこみ洗いや部屋干しが増えているイマドキの洗たく環境そのものが、バイオフィルムの形成を促進してしまう要因にもなっているんですよ。
――なるほど。だから部屋干しが増える梅雨時期には、ニオイ戻りを多く感じるんですね。
バイオフィルムは超厄介!漂白剤・除菌洗剤※、煮沸*でも除去できないって本当!?
――ところで、以前の記事でも取り上げましたが、バイオフィルムは漂白剤や除菌洗剤※では対処できなかったですよね?
森川:その通りです。漂白剤や除菌洗剤※、天日干しでも対処できないんです。さらに、煮沸*でもバイオフィルムを除去できないことが新たにわかったんですよ。
――え!煮沸*でも落とせないの!?最終手段だと思っていたのですが・・・
森川:煮沸*してもバイオフィルムは残ってしまうことを確認しました。煮沸*をすれば、ニオイの発生を低減できます。でも、バイオフィルムは落とせずに残っているので、前述の通り、ニオイの原因菌や汚れを吸着しやすく、バイオフィルムがない場合に比べてニオイ戻りしやすいんですよ。
※当社酸素系漂白剤・当社除菌洗剤
*煮沸時間10分の場合
――なるほど!我が家では、キッチンの布巾が臭くなってどうしようもないときに煮沸をするんですが、最初はニオわないけど、使っていくとニオイが気になりだすのは、そういうことだったんですね。。。
――除去が難しいバイオフィルムをつくらせないためには、どうしたら良いんですかね?
森川:バイオフィルムは菌がつくりだすものなので、「水分」「汚れ」「菌」の3つを増やさないことが重要です。特にタオルは乾きにくく、洗たくするまでの間も菌が増えやすいんです。
タオルであれば、次の4つを実践するだけで違いますよ。
❶洗たくまで、使って濡れたら風通しの良いところでハンガーなどにかけておく
❷何日も使用せず、できるだけこまめに洗たくする
❸洗たくは、つめこまずに7~8割で洗ってしっかり汚れを落とす
❹洗たく後、できるだけ早く乾くように風通しが良いところに干す
ちなみに、干すときは、風通しが良いと水分が蒸発しやすく、洗たくものが乾きやすくなります。
部屋干しのときに乾きやすくする工夫として、風が通るように扇風機やサーキュレーターの使用に加えて、除湿器を併用すると良いですよ。そして、洗たく物の間隔は空けるようにしましょう。
放っておくと時間とともにどんどん肥大化!ますます除去しにくくなる悪循環
森川:ただ、このバイオフィルムはとっても厄介で、できてしまうと時間とともにどんどん頑固に除去しにくくなっていくんです。しかも、蓄積をして肥大化してしまうんですよ。
――バイオフィルムがデカくなっていたとは・・・
森川:これまで除去することが難しかった肥大化したバイオフィルムを詳しく解析したら、バイオフィルムが強固な結晶構造を形成していたんです。そして、洗浄剤などをブロックしていることがわかりました。
――結晶構造で!?まるでバリアを張った菌の要塞ですね。
森川:まさに菌の要塞です。しかも大きくなればなるほど強固になるので、従来の技術では、なかなか太刀打ちできなかったんです。
ついに誕生!たった1回の洗たくで、強固なバイオフィルムを除去できる新技術
森川:でもついに、新たなアプローチから、この難攻不落の要塞を除去する新技術ができました!
これまで対処が難しかった、時間経過とともに蓄積して肥大化したバイオフィルムまでも、たった1回の普通のお洗たくで除去できます!
――普通の洗たくでニオイ戻り対策ができるなんて、とっても助かりますね!
森川:はい!この新技術を採用した新しい「アタック ZERO」で、まずはタオルを洗って欲しいですね。ニオイ対策にもなりますし、バイオフィルムによる“くすみ”もキレイになります。
余談ですが、ドラム式洗たく機の糸くずフィルターって、知らぬ間にヌメリが発生しますが、あれもバイオフィルムなんです。新「アタック ZERO」で1カ月以上、洗たくをし続ければ、この糸くずフィルターのヌメリも除去できますよ。
編集後記
今回で2回目となる「花王 公式の見解」シリーズ。巷には暮らしにまつわる様々な説がありますが、1世紀以上、暮らしを見つめてきた花王が、研究知見に基づいて“公式の見解”をお伝えします。
今後もその分野に詳しい解説員にインタビューをして分かりやすく解説していきたいと思います。
◆note:「花王 公式の見解」①
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