洗たく悩みの原因は?ニオイや黒ずみの発生源となる手強い“バイオフィルム”の正体とは?
みなさん、こんにちは!花王 公式note編集部です。
今回は、洗たくにかかわるお話しです。
しっかりと洗たくをしても、何だか黒ずみやニオイが取れないという方が、いるのではないでしょうか?家事の意識実態調査(2020年7月 花王調べ)でも、洗たくへの期待度は90%を超えているのに、洗たくへの満足度は「どちらでもない」が約50%と、期待と満足にギャップがあることが明らかになっています。
もっともっと洗たくの満足度を上げたい。特にニーズが高まっている洗たくでのニオイ悩みを解決したい。そんな思いで、新しい商品開発の挑戦が続いています。
最新の商品誕生をアタック開発担当の中古場輝満に聞きました。そこには、洗たく悩みの原因の発見があったようです。
洗たく悩みのニオイ・汚れなどの発生源となる「バイオフィルム」
――洗たく悩みのニオイ・汚れなどの発生源を突き止めたそうですね!
中古場:そうなんです。タオルのくすんでしまった部分を、よ~くよ~く調べると、繊維上に菌の隠れ家となる「バイオフィルム」が存在していることを発見しました。タオルでは、表面に近い場所ではなく、糸が縦横に、密に織り込まれた奥まった場所で繊維の間に「バイオフィルム」が存在していました。
恐らく、タオル表面のように糸が大きく動き易く、洗剤にも触れやすいところにはあまり付着できず、糸が動きにくく水分が残りやすいところを好んだのではないかと考えられます。
――その「バイオフィルム」とは何ですか?なぜ「菌の隠れ家」なんですか?
中古場:「バイオフィルム」とは、菌がつくり出した多糖やタンパク質などによる複合体です。
そして、繊維上で形成されてしまうと、バイオフィルムの中に存在する菌や汚れに洗浄剤が届きにくくなってしまうためか、除菌洗剤や漂白剤※では落とせていなかったこともわかりました。
しかも、「バイオフィルム」はネバネバしているので、外側に汚れや菌がくっついて落としにくくなってしまいます。こうした困った特徴もあって、私たちはバイオフィルムを「菌の隠れ家」と呼んでいます。
※当社除菌洗剤・酸素系漂白剤
――いつごろから本格的に研究や開発がスタートしたのですか?
中古場:洗たくに対する満足度がなぜ向上しないのか?なぜ洗たくでのニオイ悩みが高まっていくのか?なぜ何回洗っても黒ずみ・くすみが落ちないのか?こうした課題について2018年から研究が始まりました。最初は、研究員が自ら自宅のありとあらゆる衣類やタオルを顕微鏡で観察して、どういう状態で菌が存在しているのかを調べたのです。
その後、一般のご家庭からも衣類を集めて解析を続けました。このような地道な研究から、バイオフィルムが繊維上にできていることを突き止めました。
「バイオフィルム」って、実は・・・
――とても厄介そうな「バイオフィルム」ですが、もう少し教えてください。
中古場:生活に身近な場所にも存在していて、たとえば、キッチンの排水口のヌルヌルや、浴室の床のピンク汚れなども「バイオフィルム」なんです。
今回、繊維上で新たに発見した「バイオフィルム」ですが、花王としては、浴室や排水口などのホームケアなどの分野で、バイオフィルムの解析や、対処技術を研究してきています。これらの様々な知見や、花王のこれまでの幅広い研究によって今回の新発見につながったと言えます。
また、花王では長年、汚れの除去技術とともに、菌などの微生物制御技術の研究を続けてきました。例えば、2011年には、モラクセラという菌が生乾き臭を発生させることを、また2016年には、マイクロコッカスという菌が発汗時に感じる汗臭を発生させることを特定して、衣料用洗剤で開発に応用されています。そして、バイオフィルムに隠れている菌の中には、このようなニオイの発生にかかわるいわゆる「ニオイ菌」が存在することもわかってきているんです。
ニオイや黒ずみの発生源となる「バイオフィルム」にアプローチした技術とは?
――改良発売した最新の「アタック ZERO」は、手強い「バイオフィルム」にアプローチしたのですね!
中古場:はい。繊維上のバイオフィルムという新しいターゲットに対して、過去に開発した基剤を含めて効果を確認したところ、高い効果があるものを見出し、採用しました。この花王独自基剤を組み合わせた新処方の開発により、高い洗浄性を有するだけではなく、普段のお洗たくで「バイオフィルム」の形成を抑制できるようになりました。また、直接、塗布して洗うことで「バイオフィルム」を除去できるんです。
――テレビCMで言っていた「バイオクラッシュ洗浄」ですね!
中古場:そうです。新技術“バイオクラッシュ洗浄”技術によって、くすみやニオイが特に気になるところへ直接、塗布して洗うことで手強い「バイオフィルム」を除去できます。
「アタック」ブランドのめざす姿
――今回、大きな洗たく悩みを解決されたように思いますが、この先の展望は?
中古場:「アタック」ブランドは、1987年の誕生から、常にお客様に寄り添ってきました。そして、環境の変化やライフスタイルの変化とともに絶えざる革新を続けてきました。
これからもお客様の抱えているお悩みにしっかりと応え、洗たくにおける『まっさらで気持ちいい清潔衛生』をお手伝いできる商品を開発していきたいです。
そして、仕上がった衣服を着る時は『ストレスなく前向きな気持ちになれる』ことの実現をめざすために取り組んでいきます。