「花王 公式の見解」①エリ・ソデの皮脂汚れにはパウダー洗剤が良い※
みなさん、こんにちは!花王 公式note編集部です。
突然ですが、皆さんはふだんの洗たくでは、どのような洗剤を使っていますか?現在、家庭用の衣料用洗剤には様々な種類があると思います。
そこで今回は、花王の洗剤における、一般洗たく用の液体洗剤とパウダー洗剤の違いについて、衣料用洗剤のプロフェショナルである花王 ハウスホールド研究所の別所研究員に話を聞いてみました。
※パウダー洗剤は当社粉末洗剤。普通洗たくで当社液体洗剤と当社粉末洗剤を比較した場合。
液体洗剤とパウダー洗剤って、どう違うの?
――ふだんの洗たくに使う衣料用洗剤には、液体洗剤とパウダー洗剤の2種類があるのですが、どのような違いがあるんですか?
別所:花王の洗剤においては、細かい点は色々とありますが、大きな違いとしては、実際に洗たくしている時の「洗たく水」の液性が異なる点ですね。例えば、花王の多くの液体洗剤は中性の洗たく水に、パウダー洗剤は弱アルカリ性の洗たく水になるといった違いがあるんです。
――液性の違いですか?でも、液体洗剤でも弱アルカリ性ってありましたよね?
別所:確かに花王の液体洗剤にも、製品そのものが弱アルカリ性のものはありますが、「洗たく水」は徐々に中性に近づいていきます。実際に洗たくする場合には、水で薄められる上、衣類の汚れが出てくることで弱アルカリ性から中性に変化していきます。
――では、中性と弱アルカリ性で、どんな違いが出るんでしょうか?
別所:花王の洗剤においては、洗浄力の違いですね。洗たく水が弱アルカリ性になることで、特に皮脂汚れに対する洗浄力が大きく向上するんです。そのため、たくさん汗をかく運動盛りのお子さんの肌着や体操着、制服のシャツ、また、定期的にスポーツをされて汗をかく機会が多いご家庭などは、パウダー洗剤が向いていると思います。
――皮脂汚れってイメージが湧きにくいんですが、どんな汚れなんでしょうか?
別所:そうですね、ふだん着ている肌着では、皮脂汚れは目に見えないことが多いのでわかりにくいですよね。例えば、タンスに長い時間眠らせていた服から脂っぽい嫌なニオイがしてきたり、黄ばんでしまっていたりしたことってないですか?
――あります、あります!
別所:あの嫌なニオイや黄ばみは、落とし切れていない皮脂汚れが原因のことが多いんです。あと、皮脂汚れが多く含まれていて目立ちやすいものとしては、エリやソデの汚れがあげられますね。また、皮脂汚れだけでなく、一部の脂っぽい食べこぼし汚れについても、同様に高い洗浄力が期待できますよ。
――なるほど!そうしたら液体洗剤の良い点ってなんですか?
別所:色々ありますが、花王の洗剤においては、汚れに直接洗剤を塗布するいわゆる「直塗り」ができる点は大きいですね。濃縮度が高い液体洗剤ほど高い効果が期待できるので、食べこぼし汚れなどのスポット汚れに対して「直塗り」は超強力ですよ。また、ウールや絹などのデリケートな繊維を含む衣類は弱アルカリ性だと傷みやすいので、中性の液体洗剤のほうが衣類への負担が小さくなります。あとは、計量する時に粉が飛び散らない点も良いですね。「アタック ZERO」のワンハンドプッシュタイプは、片手でラクに計量できます。
スティック型の新洗剤にパウダー洗剤を採用したワケ
――そうそう、別所さんは、8月に新発売をした洗たく機にポンと入れるタイプの洗剤の開発を担当されたんですよね?
別所:そうなんですよ!この「アタック ZERO パーフェクトスティック」です。とにかく「ラク」を叶える洗剤の実現に向けて、研究・開発を進め、ようやく商品化できました!
――スティック型ですが、中身はパウダーなんですね。なんで中身にパウダー洗剤を採用したんですか?
別所:エリ・ソデ汚れの洗たくの前に、部分洗いをしたり、つけ置き洗いをしたりするなどの「前洗い」が不要で、ポンと入れて洗えば汚れをスッキリと落とせる*1・・・とにかく「真のラク洗剤」をめざすために、パウダー洗剤の高い洗浄力*2 が必要だったんです。
ちなみに、使いやすさにもこだわっていて、スティックを持ったときにベタベタしたり、スティック同士がくっついたりしないように設計しています。
――確かに!持った感じがサラっとしていて良いですね。
*1 汚れの程度によっては、落ち方がかわることがあります
*2 当社液体洗剤との比較
なぜ、パウダー洗剤は皮脂汚れを落としやすいのか?※
――ところで、なぜパウダー洗剤は皮脂汚れを落としやすいんですか?
別所:先ほど説明したように、洗たく水を「弱アルカリ性」にできるからです。皮脂汚れには、「脂肪酸」が多く含まれているんですが、弱アルカリ性の洗たく水では、中和反応を起こします。その結果、脂肪酸ナトリウムという“セッケン”、すなわち界面活性剤に変化するんです。このように、汚れが洗浄を助ける成分に”変身”するので、効率良く皮脂汚れが落とせるというわけです!ちなみに、パウダー洗剤が洗たく水を弱アルカリ性に保てる秘訣は、アルカリ剤を高濃度に配合できることにあります。
※パウダー洗剤は当社粉末洗剤。普通洗たくで当社液体洗剤と当社粉末洗剤を比較した場合。
――アルカリ剤ですか?じゃあ、液体洗剤にも高濃度で配合したら良いんじゃないですか?
別所:そう思いますよね。でも実は、けっこう難しいんです。少なくとも花王の液体洗剤の場合、アルカリ剤を高濃度に配合してしまうと、液体の中で白濁、さらには沈殿してしまい、品質面で課題となることが多いんです。パウダー洗剤だからこそ、アルカリ剤をたっぷり配合できるというわけです。
――アタックは、もともとパウダー洗剤から始まっていますしね?
別所:実は、このスティックの中のパウダー洗剤と、従来のパウダー洗剤*3は違うんですよ。。。
*3 当社粉末洗剤
進化したパウダー洗剤とは?
――スティックの中身は、従来のパウダー洗剤*3と別物なんですか?!
別所:従来のパウダー洗剤*3を、今回のようなポンと入れるだけの洗剤にすると、粒子同士がくっついてしまって、溶け残りが発生しやすくなるんです。
そこで、パウダー同士の密着を抑制して溶け残りをブロックするために、粒子の一粒一粒を「コーティング」する従来の製法からさらに進化した「コーティング製法」と、水に触れると効果成分が素早く溶け広がる花王独自開発の「エアーin構造」を組み合わせた「次世代型発泡パウダー」を採用しました。
しかも、従来のパウダー洗剤*3では実現が難しかった「抗菌 *4」もできるんですよ。
*3 当社粉末洗剤
*4 すべての菌の増殖を抑制するわけではありません
――なるほど!パウダーが進化しているんですね!このスティック形状にも理由がありますか?
別所:それは、持ちやすさ・扱いやすさと、溶け始めるスピードですね。色々な形状を試作してみましたが、このスティック形状が一番良かったんです。袋から取り出しやすいですし、洗たく機の中で水流や衣類との摩擦の影響を受けやすいことが想定され、実際の洗たく場面において、溶け始める時間が早いと考えています。
――これまでのパウダー洗剤*3には、粉が舞ったりこぼれたりして計量が面倒だったりするようなイメージがありましたが、スティックをポンと入れるだけなら、とってもラクですね!
別所:自信を持ってオススメします!洗たくにできるだけ手間はかけたくないけど、前洗いせずにエリ・ソデの皮脂汚れはきちんと落としてほしい*1・・・そのようなタイムパフォーマンスを求められている方には、ぜひ使っていただきたいです。
*1 汚れの程度によっては、落ち方がかわることがあります
*3 当社粉末洗剤
編集後記
今回からスタートする「花王 公式の見解」シリーズ。巷には暮らしにまつわる様々な説がありますが、1世紀以上、暮らしを見つめてきた花王が、研究知見に基づいて“公式の見解”をお伝えします。
今後もその分野に詳しい解説員にインタビューをして分かりやすく解説していきたいと思います。
◆note:ニオイや黒ずみの発生源「バイオフィルム」に挑む「アタック ZERO」開発者インタビュー