アクセシビリティ動画「キュレル みんなのスキンケアメソッド」が誕生するまで
「乾燥性敏感肌」という言葉がなかった1980年代から、花王は皮膚科学の研究をスタート。そして1999年に乾燥性敏感肌に寄り添う「キュレル スキンケアシリーズ」を発売しました。
2022年の11月12日(皮膚の日)には、目、耳、からだの不自由な方にも楽しくスキンケアをと、アクセシビリティに配慮した動画「みんなのスキンケアメソッド」を公開。
この動画を作成したきっかけは何だったのか、どんな想いを込めたのか。長年、学術活動を担当する久保に聞きました。
乾燥性敏感肌に寄り添いたいという「キュレル」の想いと学術活動
——最初に、ブランド誕生当初から行っている学術活動について教えてください。
久保:「キュレル」は、赤ちゃんから年齢を重ねた方まで、そして顔、からだ、頭皮までお使いいただけるブランドです。
ブランド誕生当初の20年程前から、スキンケアの重要性を伝える学術活動も行っていて、正しいスキンケア情報をお届けする目的で、市民講座などで広くご紹介しています。
——乾燥性敏感肌の方のスキンケアは、そうでない方に比べて大変だと聞きます。
久保:肌荒れしがちで、触れても心地よくないからスキンケアをしたくない。うまく続けられない。そういったことでスキンケアをためらってしまうというお声をよく耳にします。
スキンケアを続けていただくためには、まず、習慣になるようなご提案をすることが大事。私たちが正しいスキンケアの情報をお届けする理由は、そんなところにあるんです。
目や耳、からだの不自由な方にもわかりやすい動画づくりに有志社員も協力!
——2022年11月12日(皮膚の日)に、アクセシビリティに配慮したスキンケア動画を配信されましたね。きっかけは何だったのでしょう?
久保:さまざまな医学関連の学会への出展や、市民講座などへの参加をとおして、目や耳、からだが不自由な方がスキンケアをするのがいかに大変かを知り、私に何かできることはないかと考えるようになったんです。もっとわかりやすく、どなたでも無理なくスキンケアを続けられるようなメソッドをお届けできたらという想いが芽生えました。
さっそく2022年の年初から、社外の目や耳、からだが不自由な方、社内のKAKEHASHI(聴覚に障がいを持つ社員が中心となり有志で立ち上げたコミュニティ)にヒアリングを始め、課題や問題点を洗い出し。出来た「たたき台」を試してもらい、フィードバックをもらいながらブラッシュアップを重ねていきました。
実は難しかった!?当事者の率直な意見が改善のヒントに
——表現でとくにこだわった点を教えてください。
久保:たとえば、顔にスプレーをするとき。これまでは「顔から20センチ離して」と説明していたのですが、目の不自由な方にはわかりづらい表現だったんです。近すぎてたくさんつきすぎたり、逆に、離しすぎて肝心なところに当たらない、といったお声をうかがいました。
そこで、どうしたら顔から20センチを具体的にお伝えできるのか、私自身も目をつぶっていろいろ試してみました。周囲にも意見を聞きながら気づいたのが、親指から中指の先までが、だいたい20センチということ。鼻先にポンと親指を置いて、中指の先にスプレーを置く。この指尺であれば、どなたにでも実践していただけるのではと、今回の動画に取り入れることにしました。
また、頭皮ローションのぬり方も、今回の動画でこだわったところです。それまでは「前から後ろへ」「横に線を引くように」といったシンプルな説明だったのですが、「漢字の三の字を大きく書くイメージで」というように、具体的なイメージがわく表現を追加したのです。
どなたでも具体的にイメージしやすくするにはどうしたらいいかを深掘りしていったというのが、今回の動画の大きな特徴と言えるかもしれません。
“心地よさ”は、ナレーションやイラストの細部にまで
——イラスト動画、字幕、ナレーションから、やさしさや心地よさも伝わってくると感じました。
久保:体調などで、できない日があったとしても、「今日、また動画を見てスキンケアをしてみようかな」とくり返し思っていただけるようなものにしたかったんです。そのためにも、あらゆる側面からやさしさや心地よさを感じていただける動画を作りたいという想いはありました。
たとえばイラスト動画は、シンプルな線で描かれていながら、やわらかなタッチになるようオーダー。初めは、まばたきを一度もしていなくて冷たく感じられたので、まばたきを加えてもらいました。
また、見るだけ、聞くだけでわかることも大切にしたかったので、字幕の文
章はなるべく大きく、簡潔に。ナレーションも「間をつくりながらゆっくりと、やさしく語りかけるように」を意識しました。
ホスピスでのボランティアで気づいたQOLの大切さ
——久保さんの寄り添いの気持ちはどこから生まれてくるのですか?
久保:個人的なことなのですが、以前、ホスピスでスキンケア施術のボランティアをしたことが大きいかもしれません。
お喋りしながら、ローションを手や足にぬらせていただく。その程度ですが、肌だけでなく、その方の表情が気持ちよさそうにゆるむのがとても印象的でした。
この経験から、スキンケアをとおして、肌悩みの少ない穏やかな肌と前向きにお過ごしいただきたいというのが、私の願いとなったんです。
これからも、乾燥性敏感肌に悩むさまざまな人々のQOLの向上に、「キュレル」のスキンケアで少しでも貢献できたらうれしいですね。
編集後記
花王は「アクセシビリティ」に配慮し、誰もが“情報”を手軽に得られることをめざしています。「みんなのスキンケアメソッド」の動画をきっかけに、多くの方々が簡単にスキンケアを習慣化し、心地よい毎日を過ごせるようにと願っている「キュレル」の想いをご紹介しました。
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