働きやすい職場づくりに挑む!花王若手社員の熱い想い—仕事中の生理の悩み—
働きやすい職場の条件はいろいろ。働く時間や場所の自由度、産休・育休のとりやすさ、育児支援の充実…。今回は、「生理」のお悩みに寄り添う取り組みにフォーカス。生理は人によって症状がさまざまで、決まったタイミングでくるとは限らず、思うようにコントロールできないもの。生理を取りまく職場での不安を1つでも取りのぞくために、花王が2022年から始めたのが、ナプキン備品化プロジェクト「職場のロリエ」です。今年「職場のロリエ」を託されたのは、若手社員の江口と田村。働きやすい職場づくりに挑む二人の熱い想いと、新たなチャレンジに迫りました。
生理がある人の不安を、1つでも取りのぞくために
——最初に、「職場のロリエ」の活動について教えてください。
田村:「職場のロリエ」は、「突然生理がきても、安心して働けるように」との想いから始まった、ナプキンの備品化プロジェクトです。トイレットペーパーと同じように備品としてトイレにナプキンがあることで、心配ごとが1つ減って、安心して仕事ができるかもしれない——。働く人にとっては、急な生理がきたときにナプキンの心配をしなくてもいいですし、導入企業にとっては社員が安心して働ける環境づくりの1つになる。働く人と企業の両方にうれしい環境づくりを、賛同してくださる企業の皆さまと一緒に進めたいと考え、2022年からスタートしました。花王が専用BOXを無償で提供し、ナプキンは企業さまに福利厚生の一環としてご購入いただいています。導入企業さまは、230社(2024年10月時点)に達しました。
——活動を始めたきっかけは、何だったのですか?
江口:働く人に生理について調査をする中で、「仕事中に急に生理になったとき、ナプキンがなくて困った」という声が多く挙がったのがきっかけです。生理を取りまくお悩みはたくさんありますが、「ナプキンがない」という困りごとについては、ロリエにできることがあるのではないか。「生理をもっと過ごしやすく」をブランドパーパスに掲げ、生理のある人に寄り添うロリエとして「職場のロリエ」をスタートしました。
「予定ではないタイミングで生理が始まった」「思ったより量が多くて、手持ちのナプキンで間に合わなかった」「会議が続いて、ナプキンを買いに行けなかった」という経験のある方は多いと思います。ピンチのときに、職場のトイレに備品としてナプキンがあると、安心ですよね。私自身も、「職場のロリエ」に助けられた経験があります。
——導入した企業さまにとっては、どのようなメリットがあるのでしょうか?
田村:より快適な職場環境づくりへの貢献はもちろんですが、加えて「企業が生理を気にかけてくれている」という気持ちから生じる、社員の企業への帰属意識や、仕事に対するモチベーションの向上です。また、一緒に働くすべての人が生理を理解することで、誰もが働きやすい職場をつくることをめざせる利点もあります。導入企業さまにご提供している社内研修動画「生理を知る。考える。」では、生理の基礎知識に加え、「室温を下げすぎない」「ナプキンを取り替えられるよう、適度に休憩時間を」といった、今すぐできる取り組みについて触れています。
決まりごとはなし!目標設定や施策内容もすべて自分たちで
——お二人は、今年から、「職場のロリエ」を託されました。当初はどんな気持ちでしたか?
江口:私は以前から、「職場のロリエ」を担当したいと思っていたので、うれしかったです。仕事をとおして、少しでも世の中を過ごしやすくしたいという想いがあったからです。生理にはマイナスイメージがあり、辛くても「仕事を休みたい」と言いにくいなど、過ごしたいように過ごせない側面があります。こうした現状に寄り添う活動で、魅力を感じていました。
田村:「職場のロリエ」は、ナプキンの備品化が入り口ですが、働きやすい職場をつくる活動でもあります。生理のある人が心地よく安心して働ける職場は、風通しがよく働きやすい——。そんな信念を持ち、男性である私だからこそできることがあるのではと考えました。
江口:活動の目標や施策の内容まで、すべて二人にまかされているので、しっかりしなければと感じています。私たちは席が隣同士なので、思いついたアイデアや気づきをその都度共有して、話し合いながら進めています。
田村:「花王という企業にいながら、スタートアップみたいだね」と、江口とよく話します。何も決まりごとがない中、模索しながら進めることは、チャレンジングでワクワクし、やりがいを感じています。
花王グループで広がる「職場のロリエ 社内アンバサダー」の輪
——お二人が担当になり、今年の夏から新たに「職場のロリエ 社内アンバサダー」という取り組みが始まりました。
田村:ボランティアの社内アンバサダーが、「職場のロリエ」を紹介する名刺サイズのカードを、家族や友人、取引先の企業さまにお渡しする活動です。カードには、活動の想いと、お問い合わせ先につながる二次元バーコードを記載しています。
——何がきっかけで、そのアイデアが浮かんだのですか?
江口:社内ボランティア活動に参加したことがきっかけです。普段、業務では関わらない社員と出会い、「花王には、熱い想いを持つ人がたくさんいる」と感じました。皆さんを通じて「職場のロリエ」を紹介してもらえたら、より魅力的な活動として伝わるのではないかと思いました。
田村:花王グループ社員の協力を得られないかと二人で話し合い、社内アンバサダーを募集することにしたのです。社内でも「いい活動だね」と声をかけられる機会が増え、これからも「花王ごと」として広げていきたいと思います。
——やってみて、手応えは?
田村:100人を目標に希望者を募ったところ、予想を超えて、582人が賛同してくれました。女性が6割、男性が4割。男性が4割も手をあげてくれたことに驚きました。生理のある人に寄り添い、働きやすい職場をつくりたい想いを持つ社員が多いことを大変うれしく思います。
江口:社内アンバサダーになるだけでなく、「子どもが通う学校でも備品化したい」「花王本社のトイレに、ポスターや紹介カードを設置して、取引先企業さまの目に留まるようにしてはどうか」など、アイデアもどんどん寄せてくれています。活動を“自分ごと化”してくれて、うれしい気持ちでいっぱいです。
「職場のロリエ」普及とともに、思いやりを感じる職場も増やしていきたい
——導入してくださった企業さまからは、どんなお声が届いていますか?
田村:社員の皆さまからは、「ナプキンの予備がないときに助かった」「福利厚生が整っている企業だと感じた」「生理休暇も取りやすくなった」とのお声が。導入担当者さまからは、「社員一人ひとりに働きやすい職場をつくろうという意識を持ってもらえた」「男性も、生理を理解するよいきっかけになった」といったお声が届いています。
江口:多様な職場がありますが、工場で働いている方々から、「離れた事務所のロッカーまでナプキンを取りに行く必要がなくなった」「すぐにナプキンを取り替えられるので、制服に染み出していないかという不安が軽減された」というお声をいただきました。「職場のロリエ」が、少しでも安心して働けるきっかけになれたのかなと感じました。
——最後に、お二人の未来への想いを聞かせてください。
田村:担当になってから、妻が生理になったときに、それまで以上に寄り添えるようになった気がします。「こうしてほしいのだろうな」と勝手に想像するのではなく、コミュニケーションをとり、周期ごとに異なるメンタルの状況も理解しながらサポートしていく。「職場のロリエ」は、職場だけでなく、普段の生活にも貢献できる活動だと思います。また、男性のご担当者さまから、生理のある人をサポートしたくても、どうアプローチすべきかわからないというお声をいただきます。そういった声にも寄り添いながら、ご提案できることを考えて、発展させていきたいです。
江口:「職場のロリエ」をきっかけに、思いやりを感じる職場が増えるといいなと思っています。生理中でも安心して働けるのはもちろんですが、生理以外のときでも、体調が悪いときは悪いと言えたり、隣の人が体調が悪そうにしていたら「大丈夫?」と気にかけたりできるような職場を、1つでも多く増やすことに貢献できたらうれしいですね。
編集後記
自分たちにできることは小さなことかもしれない。でも、「急な生理のときに、トイレに備品としてナプキンがある」という安心は、きっと生理のある人にとって支えのひとつとなり、まわりの人にもうれしい影響があるはずだ。そう信じて、「職場のロリエ」が広がる未来を想像しながらキラキラと話す二人の姿に、自分も想いをもって何かに取り組み、誰かのお役に立つことができたらな、と感じました。誰もが働きやすく、思いやりを感じる職場が広がった未来が楽しみです。
◆職場のロリエサイト
◆「職場のロリエ」~誰もが働きやすい環境づくりへの想い~