化粧品ボトルから、本当の“キレイ”を考える
みなさん、こんにちは!花王 公式note編集部です。
記念すべき1本目の投稿は、「化粧品プラスチックボトルのリサイクル」についてのお話です。
私たち花王グループでは、お客さまに少しでも化粧品を使う楽しさを感じていただけるよう、中身だけでなく容器にまでこだわりを持ってモノづくりをしています。しかし、化粧品容器の再利用は難しいため、多くの化粧品は使い終わったら捨てるしかなく、環境への配慮としては課題がありました。
そこで今回、note編集部はボトル容器からボトル容器への「水平リサイクル」に取り組んでいる社員を直撃!化粧品事業部門 商品事業開発センターの大塚由喜男に、取り組みの概要やそこにかける想いなどを取材しました。
話を聞いたのは、化粧品プラスチックボトルを通じて“キレイ”を追求する大塚由喜男
ボトルも含めて、お客さまにワクワクを提供するのが「化粧品」。ですが・・・
―― どうして化粧品プラスチックボトルのリサイクルに、取り組もうと思ったのですか?
大塚:昨今、ESGやSDGsが重視される中、お客さまから「使い終わった後、きれいな化粧品ボトルを捨てるのがもったいない」といった声がよく聞かれます。私たちも、化粧品プラスチックボトルのリサイクルを検討していましたが、なかなか課題が多く…。飲料用のペットボトルのリサイクルは当たり前に行われているのに対し、化粧品においてはリサイクル方法が確立できていないという現状に、もどかしい気持ちでいました。
―― 化粧品ボトルのリサイクルは、なにが難しいのでしょうか。
大塚:化粧品ボトルの多くは、着色・加飾(かしょく)をしています。それは、私たちには「容器のカラーや質感などデザインも含めて“化粧品”であり、商品を通じてブランドの世界観を表現し、お客さまにワクワクをご提供したい」という強い想いがあるからです。ただ、これまでは、そのような化粧品容器の着色や加飾部分をしっかり除去し、リサイクル素材へ再生させることは難しいとされてきました。さらに、化粧品は油分を多く含むことから洗浄が難しいという課題もありました。
突破口は、「ケミカルリサイクル技術」
―― キレイな容器づくりと環境を守ること・・・どのようにして両立をめざしたのですか?
大塚:そこで出会ったのが、日本環境設計さんの「ケミカルリサイクル技術」です。
ケミカルリサイクルとは、汚れなどが付着している使用済みPET容器を、分子レベルまで分解して精製し、バージンPETと同等の品質を有する素材に再生する技術です。この技術を使うことで、たとえ着色や加飾があり、さらに中身の剤が付着している状態の化粧品用のPETボトルも再生できる見通しがたてられるようになりました。つまり、PET素材であれば、化粧品プラスチックボトルの「水平リサイクル」の可能性がひらけるのです。
まずは第一弾の取り組みとして、使用済み飲料用PETボトルから再生した「ケミカルリサイクルPET」を使って実際に化粧品ボトルをつくったところ、バージンPETと同等の品質の、美しい容器をつくることができました。
――たしかにきれいな仕上がりですね。続いてのステップは?
大塚:いよいよ第二弾は、使用済み化粧品容器を回収し、化粧品プラスチックボトルへ再利用する「水平リサイクル」実現に向けての取り組みです。今年の2月から7月の間、一部の店舗にてお客さまから使用済み化粧品プラスチックボトルの回収を行なっています。それをもとに、「ケミカルリサイクルPET」をつくり、化粧品ボトルに再生する実証実験を行なっています。この実験をもとに継続的な取り組みへ発展させ、化粧品として循環社会へ貢献していきたいと考えています。
自分とともに、社会も地球も“キレイ”になる世界へ
――ボトルの回収率やお客さまからの反応はどうですか?
大塚:回収がスタートして1か月が経過しました。ご協力いただいたお客さまからは「自分も水平リサイクルに協力できている気がする」といったコメントをいただいています。また、取り組みをご紹介した際には、「今度、私も使用済みボトルをもってくるわね」といったお声もいただいています。回収を始めて改めて思うのは、この取り組みはメーカーが一方的に意気込むだけでは成功しない、ということです。どれだけ素晴らしいリサイクル技術を駆使したとしても、水平リサイクルの実現には、お客さまのご協力が欠かせません。なるべくキレイな状態のボトル回収をすることが望ましいため、ご自宅で容器を洗っていただくことが必要です。化粧品をご愛用いただいているお客さまには、私たちと一緒に、自分とともに社会や地球も「キレイ」になる世界をめざし、ご協力いただけたら嬉しいです。
――将来的な大塚さんの夢はなんですか?
大塚:化粧品には人を高揚させ、笑顔にする力があると思っています。その魅力を高めつつ、今よりもっと社会にも環境にもやさしい化粧品づくりができれば、未来にわたって、より多くの人が笑顔になれると信じています。これからも、色々な角度から“キレイってなんだろう”ということを考えながら、化粧品を開発していきたいです。
化粧品ボトルの回収対象となる店舗や商品が確認できます!
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