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「職場のロリエ」~誰もが働きやすい環境づくりへの想い~

花王の生理用品ブランド「ロリエ」は2022年3月、企業が生理用品を備品化する「職場のロリエ」を始めました。なぜこのプロジェクトが生まれ、どのような反響があるのでしょうか。
今回は、ロリエのマーケティングを担当する杉本沙穗と、このプロジェクトに賛同していち早く導入されたアツギ株式会社の加藤理子さん、岡持奈那さんにお話を伺いました。


働く女性の声から始まったナプキンの備品化プロジェクト

左から花王の杉本、アツギ株式会社の加藤さん、岡持さん

<プロフィール>
杉本 沙穗
花王株式会社 ロリエ マーケティング担当
2014 年入社。生活者研究部に初期配属。ライフケア事業部でのマーケティング経験を経て、 2023 年サニタリー事業部へ異動し、生理用品のマーケティング担当として、「職場のロリエ」プロジェクトを担当する。

加藤 理子さん
アツギ株式会社 製品開発部 レッグ製品開発課 フェムサポメンバー
2001年に入社後、製品開発部レッグ製品開発課に配属。レッグウェアを中心に企画開発の業務に携わる。

岡持 奈那さん
アツギ株式会社 ブランド戦略部 フェムサポメンバー
2005年に入社後、インナー部インナー企画グループに配属。パッケージなどの装飾デザインを中心に商品企画業務に携わる。現在はブランド戦略部に所属し、企業ブランディングから商品の企画戦略までを担当する。

「職場のロリエ」サイト(https://www.kao.co.jp/laurier/project/shokuba/)と設置イメージ

――「職場のロリエ」はどのようなプロジェクトですか。

杉本働く女性たちのお悩みから始まった、生理用品の備品化プロジェクトです。社内で実施したアンケートがきっかけで始まりました。生理の悩みや苦労したことを聞くと、「突然生理が来たときに、ナプキンがなくて困った」という声が予想以上に多く挙がりました。これをヒントに社外でも調査をすると、働く女性たちから同じ悩みがたくさん寄せられました。
 
ロリエは「女性の心とからだに寄り添い続ける」ことをミッションに掲げています。トイレットペーパーと同じように、生理用品も職場の備品としてあったら、心配事が1つ減って安心して仕事をすることにつながるかもしれない。働く女性と企業の両方にとって前向きなサイクルを、賛同してくださる企業の皆さんと作っていきたいと考え、2022年3月にテスト的にスタートさせました。花王から専用ボックスを無償でご提供し、ナプキンは企業様にご購入いただく形で運営しています。



導入企業様の声①「Twitterで流れてきたニュースが問い合わせのきっかけに」

――アツギさんはなぜ「職場のロリエ」を導入されたのですか。

加藤さん:「フェムテック」をキーワードに、女性が働きやすい環境をつくる活動を始めたいと考えていたとき、Twitter(現在は「X」に名称変更)で「職場のロリエ」のニュースが“ポン”と出てきました。花王さんと企業で、生理用品が備品化できると知り、翌日すぐに花王さんのお客様相談室に電話して、直接、担当者さんにつないでもらったんです。

杉本:ありがたいことに、とても早い段階でご連絡いただいたので、サニタリー事業部の当時の担当者が直接やり取りさせてもらいました。今は「職場のロリエ」のサイト(https://www.kao.co.jp/laurier/project/shokuba/)の中に「WEBでのお問い合わせ」フォームができました。導入前に詳しい仕組みや導入方法をご説明する形になっています。

――「職場のロリエ」を導入後、アツギさんの社内ではどのような反応がありますか。

加藤さん:聞こえてくるのは、「あって良かった」「助かった」という声です。「緊急時に使っています」と話してくれた人もいます。ナプキンを持ってトイレに行くのが恥ずかしいと思う時や、急に生理が始まってしまった時にさっと手に取れるので、本当にありがたいです。

――導入して感じている課題や改善してほしい点があれば教えてください。

加藤さん:手洗い場の上に「職場のロリエ」のボックスがあるので、「誰かが歯磨きをしていたり手を洗ったりしていると、ちょっと取りにくい」とか「個室に置いてほしい」という声があります。でも、個室に1つずつボックスを置くと管理が大変なので、「ここに置いてあるよ」という専用の個室を作れないかとも思っています。もっと小さな箱はないのでしょうか。

アツギ株式会社様に設置された「職場のロリエ」の専用ボックス(右上)

杉本:専用ボックスはワンサイズで、ロリエの「スリムガード」が2個入る仕様になっています。個室に置くと補充が大変で管理が難しくなるので、洗面台の上に置く形にしています。「取りづらい」というご指摘については、社内でも対応策を話し合っています。社員さん向けのアンケートを取ってくださる企業様もあって、フィードバックをいただきながら、少しずつ改善できることを探しています。

ある企業で働く女性から、花王のお客様相談窓口に「総務の担当者が男性で、私からはうまく説明できないので直接説明してほしい」とご要望をいただいたこともあります。プロジェクトの趣旨をご説明し、ご理解いただいて、導入につながった例もあります。

加藤さん:弊社は女性のアイテムを扱っているのもあって、社内の理解は速かったです。



導入企業様の声②「女性に寄り添い、サポートするというミッションがより明確に」

――先ほどのお話にあった、アツギさんのフェムテックの取り組みについて教えてください。

岡持さん:私たちは設立77年目のストッキング・タイツのメーカーです。創成期から女性のライフスタイルを支える衣料を生み出し、女性の社会進出を支えてきました。「女性に寄り添い、サポートしていく」という強い思いを込めて、アツギが自社のフェムテックにまつわるすべての活動を「フェムサポ」と定義し、2022年4月に「アツギのフェムサポ」https://www.atsugi.co.jp/femalesupport/)を立ち上げました。

女性の生活に寄り添う商品の提案や、社内の働きやすい環境づくりなどをめざしています。女性の身体や生理・更年期をテーマに産婦人科のお医者さんの講習会を開いたり、女子サッカークラブの「大和シルフィード」をお招きしてジェンダーをテーマに講習会をしたり、様々な活動に取り組んでいます。「職場のロリエ」への参加もフェムサポの一環です。



リクエストに応えて、男性にも理解しやすい研修動画を制作

――「職場のロリエ」の今後の展開についても教えてください。

杉本:おかげさまで、月々の問い合わせ件数が増えています。ロリエは一生涯にわたって女性の悩みに寄り添っていきたいと考えているので、導入企業の皆さんと一緒に取り組めることを増やしていきたいです。導入企業様にニーズを伺っている中で、「男性も理解しやすい研修コンテンツがほしい」というご意見があり、オリジナル動画コンテンツ「生理を知る。考える。」を制作しました。今後も生理現象を取り巻く環境をより良くしていくために、1つずつ取り組んでいきたいです。

――女性の生き方や働き方が多様化する中で、より働きやすい会社・社会を実現するにはどうしたらいいのでしょうか。

岡持さん:アツギはこれからも“肌の一番近く”で女性を支えていきたいという強い気持ちがあります。一方で、女性がマイノリティーだった企業の中もだんだん変わってきたように感じます。「フェムサポ」は女性6人で始めましたが、社内公募でメンバーは12人に増え、男性も2人います。

杉本:性別に関係なく、生理を改めて知ること、そして日ごろから体調などについて職場で話せる雰囲気を作っていくこと。お互いの心遣いで変えられると思っています。その1つのきっかけを「職場のロリエ」が作っていきたいです。



編集後記

職場で生理用品を備品化するという活動を初めて聞いた時、「そういう時代になったのか」と思いました。この話題はオープンに話したい人もいれば、話したくない人もいます。体調の変化などは個人差が大きく、価値観もさまざまです。3人のお話を伺って、働く女性を支える活動が、多様性の時代の職場のあり方につながっていると感じました。皆が安心して働ける職場をつくるために自分は何ができるのか。これからも考えていきたいです。


◆「職場のロリエ」サイト


◆ロリエアンバサダーの二階堂ふみさんを起用したYouTube動画広告


◆「アツギのフェムサポ」サイト



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