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アタック ZERO「すすぎ1回」でコツコツ“脱炭素”へ

お洗たくの「すすぎ1回」は、地球にもお財布にもやさしい設定であることを、ご存じですか?実は花王は、10年以上前から取り組んできました。
 
「すすぎ1回」を叶える主な商品の1つである「アタック ZERO」。高い洗浄力を誇るアタック ZEROには、サステナブルな界面活性剤「バイオIOS」が配合されています。今回は、「バイオIOS」の特徴を活かした洗浄技術として、「汚れ落ちのよさ」と併せて提案している「すすぎ1回」にフォーカス。お客さまにも環境にもうれしい「未来の洗たく習慣」をつくろうと挑み続けたハウスホールド研究所の橋本研究員に、開発の舞台裏と、その熱き想いを聞きました。


環境にも、お客さまにもメリットを!花王が普及に貢献してきた「すすぎ1回」のお洗たく

<プロフィール>
橋本 侑樹(はしもと・ゆうき)
2013年花王入社 ハウスホールド研究所

よきモノづくりと健康維持に日々奮闘中です。

——そもそも、お洗たくの「すすぎ1回」ってどういうことですか?
 
橋本:一般的な洗たく機では、すすぎ2回が標準設定になっています。このすすぎ回数を1回に減らすことで、節水・節電に加えて、時短まで叶える*1 設定が、「すすぎ1回」です。
 
*1 洗たく機種や衣類量などの洗たく条件による(花王調べ)

——どんな発想から、「すすぎ1回」を実現する洗剤の開発に挑むことになったのですか?
 
橋本:洗たくの「すすぎ1回」を初めて提案したのは、2009年に発売したアタックNeoに遡ります。環境保護の観点から、お客さまが洗たくするときに使用する水の量や電力を抑えられないか考え、生まれたのが「すすぎ1回」のアイデアでした。
 
それまで2回が当たり前だったすすぎの回数を1回に減らすことで、使用する水量を減らす*1 ことが可能に!加えて、洗たく時間を短くできるので、節電*1 も叶えられます。環境保護にコミットしながら、お客さまにもメリットを感じていただける提案になると考え、技術の開発に着手し、世に送り出しました。今では洗たく機に当たり前のように備わる設定となった「すすぎ1回」を、花王は10年以上前から広めてきたのです。

*1 洗たく機種や衣類量などの洗たく条件による(花王調べ)

——それがさらに進化したのが、2019年に発売したアタック ZEROですね。
 
橋本:アタック ZEROでは、「すすぎ1回」に加え、昨今の洗たく環境の変化にも注目。現代の忙しいライフスタイルを反映して、一度で大量に洗たくする「詰め込み洗い」が増加し、衣類も汚れが落としにくい化学繊維で作られた機能性衣類がより身近になってきました。こうした洗たく環境の変化に伴い、解決すべき洗たく悩みも変化していると考え、さらなる技術開発に取り組みました。キーポイントとなったのは、「汚れ落ちのよさ」と「すすぎやすさ」を両立する「バイオIOS」の開発です。



油になじみやすく、水に溶けやすい!花王独自開発の界面活性剤「バイオIOS」

——アタック ZEROの核となる「バイオIOS」とは?
 
橋本:アタック ZEROに搭載している「バイオIOS」は、花王が独自に開発したサステナブルな界面活性剤です。
 
洗たく洗剤において界面活性剤は、油などの汚れを落とすには油になじみやすく、すすぎやすくするには、水に溶けやすいことが必要となります。ところが一般的な界面活性剤は、油になじみやすいものは水に溶けにくく、水に溶けやすいものは油になじみにくいという性質を持ちます。すなわち、「汚れ落ちのよさ」と「すすぎやすさ」はトレードオフの関係にあり、両立が難しいわけです。
 
そこで我々は、界面活性剤の分子構造から研究を重ねることで、従来より汚れを落としやすく、すすぎやすい界面活性剤の開発に成功しました。バイオIOSの分子設計から製品化まで様々な困難に挑むこと約15年。様々な部署が一丸となり、オール花王で取り組んだからこそ成し遂げられたことです!

——商品として世に送り出すまでには、大変なご苦労があったのでは?
 
橋本:「すすぎ1回」の品質担保にかなり苦労しました。洗たく条件はご家庭や地域によって多種多様ですので、あらゆる条件で「すすぎ1回」を安心してご利用いただけるようにしなければなりません。使用する水の温度や、地域ごとの水質、また柔軟剤などを併用するか否かによって、「すすぎやすさ」は異なります。また、各家庭の水道の配管構造の違いから受ける影響など、実際にご家庭を訪問しないとわからないことも多くありました。どの処方なら「すすぎ1回」を各家庭の洗たくで担保できるのか。研究所では、配管まで再現したモデルを組み立て、過酷な条件を再現して、洗たく機での実験をくり返しました。アタック ZEROを世に送り出すまでに試した処方は、1万近くに及びます。



モノづくりに真摯に向き合う社風とお客さまからの喜びの声が原動力に

——あきらめずに、困難に挑戦し続けることができたのはなぜですか?
 
橋本:振り返って考えてみると、社風に背中を押されたことが大きかったように思います。花王には、性能・品質に妥協せず、モノづくりに真摯に向き合う社風があります。壁が立ちはだかったときは、チーム一丸となって知恵を寄せ合い、スピード感を持って解決する。誰にでも相談しやすい風通しのよさも継承され、息づいています。社内には前向きな言葉があふれているので、私自身「諦める」という発想はないですね!

——開発を続けていて、喜びを感じるのはどんなときですか?
 
橋本:もともと私が花王に入社志望したのは、生活に身近なものをお客さまにお届けしたいという想いがあったから。現在に至るまで、関わった商品が世に出るたびに喜びを感じています。
 
発売後は、お客さまの反応を知るのが楽しみです。「くすんでいたタオルが、真っ白によみがえった!この感動を、開発担当者に伝えてほしい。」とのお電話がカスタマーセンターにかかってきたことも。洗剤ひとつで、そこまで感情が動いて、感動していただけるんだ!と驚き、記憶に残っています。お客さまからの声は、次の開発の糧にもなりますね。



お客さまがすすんで使いたくなる商品をとおして、脱炭素社会への1歩にも貢献したい

——橋本さんにとって、お洗たくの「すすぎ1回」とは?
 
橋本:洗たく習慣は、古くから変わらないようでいて、実は近年、IoTや家電の進化もあり、少しずつ変わってきています。洗剤開発を行う我々も、時代の変化を捉えていくことが大切で、環境保全への取り組みもその1つ。節水・節電*1 はCO2削減*2 にも繋がるので、「すすぎ1回」を叶えるような商品開発を行うのはその一例です。
 
*1 洗たく機種や衣類量などの洗たく条件による(花王調べ)
*2 電力消費など間接的なCO2排出を含む
 
一方で、いくら我々が、1回ですすげる洗剤を開発しても、お客さまに洗たく機の設定を変えていただかないことには、「すすぎ1回」は実現しません。実際に、現在「すすぎ1回」の設定で洗たくしている方は、全体の36%ほどで、まだまだ浸透していないといえます(2024年 花王調べ 2,712名)。

洗剤の性能を語って、環境にいいからと押しつけるのではなく、お客さまが「節水・節電になる」「時短になって、お財布にもやさしい」などの魅力を感じ脱炭素社会に向けて無理なく貢献していただけることが理想です。「すすぎ1回」が地球温暖化を止める大切な一歩になると、うれしいですね。

——最後に、橋本さんがめざすモノづくりとは?今後の目標もお聞かせください。
 
橋本:お客さまが「これだったら環境にもいいし、私もうれしい」と思っていただけるのが、私のめざしていきたいモノづくりです。
 
当たり前の洗たく習慣に、「すすぎ1回」のような新たな提案を加えることで、お客さまにも環境にもうれしい「未来の洗たく習慣」をつくりあげていけたらと思っています。



編集後記

花王は現在、持続可能な社会の実現に貢献する企業姿勢や取り組みを「もったいないを、ほっとけない。」というメッセージでお伝えしています。今回はテレビCM「もったいなインタビュー」の排水口さん篇の中でも「すすぎ1回」にフォーカスし、地球にも、お客さまの暮らしにとってもうれしい製品を作りたい研究員の想いとともに、そのワケを紹介しました。
脱炭素社会の実現をめざして、これからも「もったいないを、ほっとけない。」を推進していきます。





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